にんじんの会サイトビジット
サイトビジットを担当するのは、私、濱田麻衣可です!ほーーーんとに楽しかったです。興奮冷めやらぬ、サイトビジット記をご覧下さい!
施設が一つの家のよう
在宅福祉サービス、施設福祉サービスを提供するにんじんの会西恋ヶ窪はそこに
ありました。
エントランスに入ると、受付・スタッフのルームがオープンになっていて、
「明るい」
入り口入ってすぐにある開かれたキッチン
向かって左には治江さんがデザインしたという調理場。
まるでイタリアの田舎のかわいい調理場を再現したようなものでした。
とても介護施設とは思えないほど、あたたかい空気が私をつつみこんできたのを
”皮膚”で感じました。スタッフと施設をご利用になっている方の笑顔があり、
人の動きがあり、“特別な空間”ではなくて、そこには”日常”がありました。
「にんじん」に”日常”が普通に存在している理由はどこにあるのでしょうか。
それは全て治江さんが唱える
「介護はプロに、家族は愛を」という言葉からくることが、施設、スタッフの様子、
治江さんのとお話の中から、自然と理解されました。
にんじんホームの施設の一部。お風呂に入る設備は素晴らしかった。
理想を追うよりも目の前を一生懸命に生きる
治江さんは、柔和な顔で、それでも重みのある、胸にズンッと響いてくるように
言いました
「私はね、いつもスタッフにこう言っているんですよ。”目の前のことを一生懸
命やりなさい。そうすればきっとね、きっと
人すじの光がさしてくるから。”10年後はこう、20年後にはなんて語ったと
ころで、それは理想なんですよ。
それよりも、今は目の前のことを一生懸命やることが大事なんです。理想を語っ
たってどうにかなるわけじゃない」
治江さんは”今のこの瞬間が大事だ”と何度も言っておられました。
目の前のことを一生懸命やることで、人すじの光がいつかさしてくる
にんじんで言えば、それは目の前の介護という”行為”を一生懸命することでしょう。
行為と愛を分ける
治江さんは「介護はプロに家族は愛を」というように介護を”行為”とし、介護と
愛を区分しました。
けれども、にんじんを訪れて、治江さんの話すときの表情をみていて、スッタフの
ことを見ていて気付いたことがあります。
確かに彼らは介護のプロであり、介護は”行為”であると認識している。
けれども、確かにそこにいる治江さんやスタッフには”愛”がある。
そう思う理由は言葉にできません。というのも”皮膚”で感じたから。
「この人たち、”行為”とちゃんとわりきって仕事はしているけれど、愛もある
な」と。
介護を”行為”と考えることで、集中して専念できる。
そうすると、スタッフと入居されている方との関係が、いい意味でシンプル化さ
れて円滑に介護”行為”がすすむのです。
スタッフも入居されている方も気持ちが軽くなるのでしょう。従来の介護の”暗
い・重い”感じがしないのはこのおかげも
あるもかもしれないと思いました。
両者とも気持ちが従来よりはれるので、良好な関係が結びやすいのです。
結果、そこには”愛”がうまれるのではないかなと思いました。
”なんとかしなきゃ””かわいそうだから”というような義務感や、責任感、同情か
らうまれる愛ではなく、
自然と芽生えた愛、それが存在しているように感じました。
介護において、もとめられる”愛”というのも”どんな愛か”によってかわってくる
のではないか、そう思いました。
仕組み化:「人」を変えても「心」まで変えることを目的としていない
「仕組みつくり」と聞いてあなたは何を想像しますか?
マニュアル化?物事を効率よく行うために行うこと・・・?
おそらくこの仕組み化に至るには、「問題意識」「愛情」というものが存在したからこそ、仕組み化に至ったのだと思います。
しかし、石川さんは少し仕組み化に関して違った視点を持っていました。
「私が仕組み化にこだわるのは、仕組みにおとすことで、人が変わっても、その人が特別な”愛情”をはじめもって
いなくても同じように仕事ができるようになるから」
石川さんのいう仕組み化は、実行することで、人の動きが変わるところまでを意味しており、その先にある、人の心の変化まで仕組み化をしてはいないのです。
しかしながら、たとえ、仕組みで人の動きしか変わらないとしても、仕組み化を全身全霊をかけて行う、その石川さんの人柄が、結果的に人の心の変化を与えているのだろうと私は感じました。
にんじんの由来
にんじん―人参。
人が参加する。だから愛がうまれる。
愛をうむために、人が参加するのではない。
そんなことを思いました。
にんじんホームの入り口前での写真。真ん中が石川さん
※参考
石川治江(いしかわ はるえ)さん
1947年東京都生まれ。外資系組織秘書、喫茶店、居酒屋女将などを経て、福祉の分野に進む。 1987年に非営利の民間福祉団体としてケア・センターやわらぎを設立。日本初の24時間365日の在宅福祉サービスを打ち出す。現在、NPO法人となった同団体と、社会福祉法人のにんじんの会の代表理事として、福祉の空気を変える活動を行っている。著書に「介護はプロに、家族は愛を。」(ユーリーグ株式会社発行)「水辺の元気づくり」(理工図書株式会社)「川で実践する」(学芸出版)などがある。