★☆ Story (1) -----------------------------------------------------
アイディアはあるのに、それがプロジェクトの
成果になかなか繋がらない・・・と悩むあなた。
そんなある日、あなたの組織に、製品・サービス開発
のコンサルタントが来ることになりました・・・!
同じレベルで話をするため、だまされないため(笑)、
まずは製品・サービス開発について勉強することにしたあなた。
『 製品開発の知識 』というビジネス分野での製品開発
について書かれた本を先輩から薦められました。
★☆ Question (1) -----------------------------------------------
Q1,
ビジネスにおける製品開発とは、何をすることですか。
『 製品開発の知識 』のⅠを参考に、
他のゼミ生に分かるように説明してください。
※ その際、自分の意見などを入れてもOKですが、
本から学んだ部分とはっきり分けて書いてください。
☆製品開発には、常に"What, Why, How"を問い続ける、
意思決定&マネジメントが求められる。
しかし、実際は日常業務化しやすい部分でもある。
☆ビジネスの製品開発には二つの役割がある。
①資源を最大限に活用して、短期的な経済的価値を生み出すこと。
製品開発によって付加価値を生み出すためには、
a) 製品の機能や利便性や魅力を高めて顧客を満足させること、
b) 製造の設計がコストを決定すること、
c )製品の価値は市場の競争環境で変わること
を念頭に置く必要がある。
ひいてはこの付加価値が、従業員や社会への貢献にもつながる。
(*NPでも人や金の設計を工夫して、効率化をするべきなのは一緒か。
NPでは「競合」が増えれば社会的価値は上がっているんじゃ?
組織の希少性は下がっても、ビジョン実現に近づくのであれば結果おーらい?)
(*いわゆる「ビジネス」での従業員や社会への貢献は、
あくまで「副産物」としての位置づけが大きいような。)
②新しい市場を開拓し、技術力を蓄積することで、
長期的な視点で企業の将来を築くこと
ただし、製品開発と完成までの間には時間差があるので、
先を十分に見越した投資が重要になってくる。
(*想像だけど、NPではどちらかといえば即効性の高いものを考える?
早く社会的な成果が出るものを優先する傾向があるのでは。)
☆ビジネスの製品開発マネジメントが難しいのには、三つの理由がある。
①新しいものを生み出すときに不可欠な「創造性」には
失敗や試行錯誤がつきものなのに対して、
「効率性」を高めるためには無駄を省き、
時間短縮を考えなければならないこと。
(*NPでは後者がないがしろにされがち?「失敗すら美しい」みたいな、
良くも悪くもour work is artistry! なattitudeが根づいているような。)
②インプットに対するアウトプットが予測しにくいということ。
これは、顧客の期待やニーズが複雑化していたり、
競争が激しくなっているという点で市場の不確実性が高いこと、
また、製品が完成するまではコストや機能が証明しづらいため、
技術の不確実性が高いことによる。
③技術と組織の両方が複雑だということ。
複合的な技術を用いて、複数の分野からなる組織を引っ張るには、
関わる人々の目指すべき方向を合わせなければならない。
(*ミッションマネジメント!
これはビジネスでもNPでもどっちも必要なんじゃ。
ただし、NPの方がよりステイクホルダーの種別は複雑ですよね。)
☆時代の変化によって、差異化の必要性が上昇した。
経済成長期はとにかく「安くてよいもの」が売れるため、
「同質的競争」が起こっていたが、
90年代半ば以降、経済成長が止まってくると、
「新規性&独自性」で勝負する、「差異化競争」が主流となった。
☆この差異化を製品によって行う場合、三つのレベルがある。
①特定機能
目立つが、マネしやすい。
②機能軸変更
成功すればヒットするが、
③新分野
普及に時間がかかる
☆また、製品開発能力という大きなくくりで差異化を行うこともできる。
これは、製品開発を行う起業・組織の仕組みやプロセスを指しており、
マネされにくい。
(*NPの場合はむしろ競合にもそのノウハウを開示して、
diffusionしていくべきだろう。競争⇒協奏)
☆製品開発能力には三つの軸がある。
①技術力
長年の積み上げによるもので、マネされにくい。特許で守ることもできる。
②組織プロセス能力
効率を上げ、高機能と低コストの両方を実現する。
これができる企業は日本では非常に少なく、トヨタぐらいのものらしい。
(*工場では、製品を上から下に移動するとき、
下りのベルトコンベアーは使わずに、重力で「滑り落とす」というのを
聞いたことがあります。)
③価値創造能力
a) 製品・市場戦略に関する能力
顧客ニーズに合致させるための市場分析やマーケティング能力を指す。
b) 独自のビジネスシステム構築・活用能力
製品開発の部門だけでなく、業務全体として、
複数の企業も含めた上での、「ビジネスシステム」としての能力を指す。
(*これはまさにNPでも求められる「全体視点」でしょう。)
☆競争力の源泉となる、スキル、技術、組織プロセスの集合体を、
企業の「コア・コンピタンス」と呼ぶ。
★☆ Story (2) -----------------------------------------------------
これで予習はばっちり。
いよいよ、コンサルタントがやってきました。
なんと、大学時代のゼミの先輩の荒海さんでした・・・笑
彼に、あなたのプロジェクトについて説明しましょう。
★☆ Question (2)&(3) --------------------------------------------
Q2,
あなたのプロジェクトについて、荒海さんに説明してください。
彼は短気なので、シンプルに説明するよう気をつけましょう。
※ その際、
・誰が一番優先順位の高い顧客か(誰に?)
・何を提供しているのか(Productは何?)
・なぜそれを提供するのか(ミッション・問題意識は?)
を必ず盛り込んでください。
僕のプロジェクトは、人工国際語エスペラントが
ソーシャル・イノベーションに繋がるということを、
その特徴と実際の事例から証明することです。
エスペラントの根底にある「中立・平等」の精神が
多くのエスペランティストに共有されていること、
それゆえにエスペランティストのコミュニティは
異質なものや多様性に非常に寛容であること、
そんなエスペランティストが文字通り世界各国に点在し、
ネットワークを築いていることは、他に類を見ない強みだと革新しています。
そこで、現状では「マニアックで無意味な少数言語」という位置づけに
留まっているエスペラントが、実は貧困や紛争、人種差別など、
世界中に広がる様々な問題の解決に役立つのではないか?
ということを、卒業論文という形で仕上げるのが僕のProductです。
ここでのいちばん重要なお客さんは、【論文を読む人たち】です。
①エスペランティスト:
エスペラントのすごさを再確認し、自分たちの存在意義が分かる
②非エスペランティスト:
未知なるエスペラントの世界をちょっとのぞいてみて、
言語格差の問題に気づける
目指すはエスペランティスト・コミュニティの
「量的改善」よりも「質的改善」であり、
その先にあるはずの「中立・平等な世界の実現」です。
Q3,
あなたの製品・サービスの強み・革新的な部分はどこですか。
『製品開発の知識』Ⅱを参考に、分析してください。
僕の論文の強み・革新的な部分は、【テーマ】です。
①SFCにおいて、慶応全体において前例がない
②社会言語学、社会起業の両分野にまたがるという意味でも、
双方にとって画期的
これまでエスペランティストにとって、
研究・実践両方の面で、語られてこなかったエスペラントの意義を見直し、
実践に移す機会を提供したいです。
また、両分野に携わる人たちからの知見、フィードバックを得て、
cross-fieldなアウトプットを出したいです。
しいて言うならば、「市場主導型革新性製品」に近いと思います。
【おまけ】
ビジネスにおける「市場主導型革新性製品」として、
僕の就職先である株式会社Fの事例をあげたいと思います。
従来は高級ブランドもの、また女性をターゲットにしたものが主流だった
「香水」をよりカジュアルに楽しめるように、
そして男性の「市場」を切り開くため作られた製品こそが、
Fのターニングポイントとして知られています。
そんなFのコア・コンピタンスは、
①伝統的な縛りにとらわれない創造的破壊力
②卸事業から得られる香水市場についての知識とノウハウ
③企画部だけでなく、営業やバイヤーも巻き込んだチーム編成
によって構成されるものだと考えられます。
★☆ Story (3) -----------------------------------------------------
その日は、荒海さんはヒアリングだけして帰っていきました。
おっと、そのとき忘れ物が・・・!
『 High performance non-profit organizations 』という
NPO経営について書かれた洋書が忘れられていました。
彼に返す前に、ちょっと読んでみよう・・・♪
すると、Product Developmentという章が :-D
★☆ Question (4) -----------------------------------------------
Q4, 現状のマイプロを、P62 "世界をリードする企業のProduct開発"
(A World-class business model for product development)
の4つのプロセスを使って、分析してみましょう。
その分析を、ふたたび荒海さんに説明してください。
成功している部分、まだ改善できる部分を
はっきり区別して、具体的な例を交えて書いてください!
1. They treat product development as an organizational process
that can be structured, measured, and improved.
(製品開発を組織プロセスとして構成、測定、改善できる)
【評価できる点】
現場に出て、組織の一員として動く努力はしています。
まだ具体的なところまで落とし込めていませんが、
プランの共有、イベントへの意見創出などはしています。
実際に、7月に参加予定の国際青年エスペラント大会での目標は、
来期以降のリサーチや活動につながるような人脈づくりです。
【改善できる点】
どうしても個人としての「研究」に走ってしまい、
組織プロセスとしてはとらえられていないのが現状です。
つまり、研究会でもJEJ(青年エスペラント連絡会)でも、
巻き込みが足りていません。
2. They harness talent and perspectives in the company through
the use of cross-functional teams.
(部門横断的なチーム編成によって、才能と視点を強化している)
【評価できる点】
異なる研究会での学習やフィードバックを受けて、
常に違う立場・視点からの言い分や意見を聞くようにしています。
平高研ではオーソドックスな「社会言語学」の観点から、
渡辺研では「国際関係」「グローバル社会学」の観点から、
そして、いのけんやSBPでは「社会起業」の観点から、
それぞれプロジェクトへの助言やアイディアが得られています。
【改善できる点】
少し欲張りすぎなのか、いずれの分野からも
表面的な声しか拾えていない気がしています。
「チーム」というよりは自分個人を媒介としているにすぎず、
それこそそれぞれの分野から人を集めて、話し合う機会など設けたいです。
先日、いのけん履修者のくぼっちとSBP履修者の浅田さんには、
「エスペラント社会起業家」の模範ともいうべく女性の話を聞いてもらいました。
そのときの感想など、より詳細に聞きだす必要があると思っています。
3. They put customers at the center of the product development process,
both by encouraging direct contact between company employees and
customers, and through new methods of in-depth market research.
(従業員と顧客の直接的なコンタクトの奨励、
徹底的な市場分析の新しい手法の利用によって、
顧客を製品開発プロセスの中心に位置づけている)
【評価できる点】
卒論を読んでほしい相手(=エスペランティスト、学生)に
直に会って話す機会は、十分に持っています。
卒論といえども顧客志向を忘れずに、
誰が読んでもおもしろい!論文の執筆を目指しています。
【改善できる点】
「市場分析」という意味では、エスペランティストや学生が、
実際に何を求めているのか、何を知りたいのか、
というところまで把握できていません。
独りよがりな研究で終わらないためにも、
自分の興味・関心と論文読者の興味・関心をすり合わせていきたいです。
4. They support the passion and creativity of employees
by creating conducive work environments.
(促進的な仕事環境を創ることで、従業員の情熱と創造性を支えている)
【評価できる点】
「仕事環境」というのが僕の「研究環境」なのだとすれば、
いのけんもJEJも実に促進的で、応援をしてくれています。
JEJの環境自体は、若い人が増えていることもあって、
より実験的・創造的になっています。
2か月に1回発行されている会報誌のコンテンツや、
青年大会に加えて、日本大会や日中韓合同セミナーの運営においても、
自分たちで創り上げていこうというモチベーションが増加しています。
【改善できる点】
先述のとおり巻き込みが足りていないので、
自分以外の人たちの情熱や創造性を引き出すところまではいたっていません。
JEJでも、新参者ということもあって、まだまだ自分の「お客さん意識」が
抜け切れていません。今後のJEJ・イベント運営を通して、
自分が文化と環境を創っていくんだという自覚を持ちたいところです。
-------------------------------------------------------------以上です★☆