井上英之 研究室

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1月20日、課題其の弐をアップしました! 

【  導入  】
『使える弁証法』を読んで、「螺旋的発展」だと思うものを、ひとつ挙げて、みんなに説明してください。
例:「競り」と「ネットオークション」

<回答>

懐かしの「銭湯」と娯楽施設「スパ」

自宅にお風呂のなかった時代、人々は近所にある銭湯に通って体の清潔を保っていました。しかし、ほとんどの家庭にお風呂が常備されるようになり(例外:たっくんち)、銭湯は大衆文化からいつしかマイナー施設となっていった。
しかし、近年になって、お風呂の種類の多様化や娯楽的要素を織り交ぜた銭湯=スパが登場することで、「銭湯」文化の復活が起きた。これは、交通手段の発達により遠隔地の施設にも行けるようになったことや、娯楽の多様性に起因すると考えられる。


【  其の壱  】
ハーバードMBAのSEコース在籍の友人スティーブがいの研に遊びに来ました。「Hey baby, 日本は欧米のマネばかり!Originalなアイディーアはないのかい?」スティーブにも分かるように、かつ、今まで学んだ授業のエッセンスを使って担当事例を説明して、ぎゃふんと言わせてやってください。
その際に①~③を必ず盛り込んでください。
 ①キャッチコピー
 ②事例内容
 ③どこがおもしろい(exciting! interesting! wonderful! cool! sexy! etc.)のか

[テーマ:近江商人(三方よし)]
参考文献:末永 国紀『近江商人学入門』
     弦間 明ら『江戸に学ぶ企業倫理―日本におけるCSRの源流』
     三方よし 
http://www.shigaplaza.or.jp/sanpou/mini_info/ohmi_businessman.html

★今期の授業テーマ(オリエン含む)
 イノベーション、ソーシャル meets ビジネス、
 スケールアウト、ソーシャルキャピタルマーケット、
 マイクロファイナンス、ベンチャーフィランソロピー
 ミッションマネジメント、デザイン

<回答>

スティーブ!なんてことを言うの!あなたは、日本のことを知らなさすぎね。日本には、古くから商売を行うときに様々な工夫がなされてきているし、それはごりごりのMBAの手法にも劣らないイケてるところがたくさんあるんだから!そして、今でもそのよさは日本の企業に脈々と受け継がれているし。
今回は、「近江商人」を事例に説明しましょう。読み方は、オーミ。これは、地名に由来するもので近江と呼ばれる現代の滋賀県のあたりの出身の商人たちをこう呼ぶの。彼らが活躍した時代は、西暦で言えば16世紀の中盤あたり、ヨーロッパ諸国が大航海時代の最中、オランダがスペインから独立した頃から始まりだした感じかな。すごく歴史を感じるでしょ。

近江商人の経営理念

①キャッチコピー
「社会への配慮は社会の為ならず」

②事例内容
近江商人は、行商を行うスタイルでの商売を確立している。これは、つまり近江商人が全国各地に出かけていって商売をするということ。
その際に近江商人たちが信念として掲げていたのが「売り手、買い手、世間」の三者にとってよいものであるようにとの「三方よし」であり、異国の地で外来商人として身持ちを正しくすることを説いている。
新しい土地に行った際に、まずは地元との関係作りからはじめることで、真の利益を得られるという思想に基づいている。

③どこがおもしろい
日本のことわざに、「情けは人のためならず」というのがある。自分が、フローレンスのインターンを通してまさにこのことを実感していたが近江商人の「三方よし」それに通ずる部分があると感じた。
社会に対しての益を考え真摯に仕事や商売に取り組むことで、得られる利益こそが正しい(適切な)利益を得られるという思想を持っており、利益第一主義のよって起きる現代の不祥事にまさに欠けている視点。

<「三方よし」に関係するその他のキーワード>

● スケールアウト=これらの理念を近江商人たちは文書に書き残しています。
● 近江商人一人一人が支店の役割を持つと考えると、一つの商売のやり方を決めてかからずに、地域地域にあわせた商売のやり方を自ら編み出しているという点で、ミッションマネジメントで学んだ現場の知恵の重要性、またスケールアウトで言う「現地適合」の必要性にも応えることのできる理念である。

近江商人の経営手法

①キャッチコピー
古今東西、商売の真髄は変わらない

②事例内容
近江商人は、商売を円滑に行うために様々なところに工夫を凝らしている。
近江商人が行った「持ち下り商い(ノコギリ商い)」は、非常に効率のよい販売方法で、国外に行商に行く際には近江国内で生産されたものを持ち下り、また、周辺村落にはその地域の産物を販売し、彼らが必要とする情報をまず入手する。帰路ではニーズにあわせて各地で仕入れたものを販売しながら行商を行う。
問屋では商品情報を収集し、成功するとその土地で店舗を構え柔軟な販売方式を実践していた。

③どこがおもしろい
上のお話は、近江商人が編み出した経営手法の一つの例であるが、これらの事例を読み進めていくと、彼らのやっていたことと現代社会において求められている経営というのは何ら変わらないことが分かる。商売というのは、要するに「利益を最大にして目的を達成する」という非常にシンプルなことであることが分かる。

(1月18日アップ)

【 其の弐 】
某自動車整備会社の中村社長(58)がいの研に遊びに来ました。
「ネイチャーキャピタリズム?それは新しい育毛剤かい?」自然資本主義の4つの戦略(『自然資本の経済』P38,39)をそれぞれ、自分の好きな事例を用いて、そんな中村社長が納得するように説明してください。事例はひとつでも複数でも構いません。


<回答>

中村:
ネイチャーキャピタリズム?それは新しい育毛剤かい?

平田:
 中村さん、新しい育毛剤とはなかなかカンがよろしいですね。そうなんです、髪の毛だけでなく、地球のあらゆる資源を、資本と捉え最大化するための考え方がネイチャーキャピタリスムなんです。
 「宇宙船地球号」という言葉をきいたことがありますでしょうか。これは、地球を宇宙船に例えたのはつまり、地球の資源は有限である、という意味で使われる言葉です。
 このお話は、中村さんの髪の毛を超えて、むしろお孫さんのたけしくんのこれからに関わってくることだと捉えていただければいいかと思います。

中村:
 なになに、たけしの身に関わることなのか。話してみろ。

平田:
 どうもありがとうございます。ネイチャーキャピタリスムというのはですね、経済活動に必要な資本を、従来の【人的資本・金融資本・製造資本】だけでなく、それに【自然資本】というのを加えて捉える考え方です。

中村:
 つまり、人的・金融・製造資本だけでなく自然資本に関しても金銭的な価値を持たせて評価すればいいというわけか?

平田:
 そうなんです、自然資本に価値を見出すという意味では中村さんのおっしゃるとおりです。
 しかし、単なる自然資本と言っても、従来の生産工程で必要とされてきた、水だとか金や鉄の資源にとどまらず、植物が二酸化炭素を酸素に変えるその【自然界の持つシステム(生態系)そのものを自然資本と捉え】たとき、自然資本に金額をつけることは非常に困難ですよね。

中村:
 確かに、それはちょっと想像がつかないな。
 しかし、またなんで自然資本という考え方が生まれたのかね。

平田:
 この考え方が生まれてきた背景としましては、先ほども述べましたように宇宙船地球号に住まう私たちにとって、この自然資本の見直しが重要な課題になっているからなのです。
 従来の経済循環の考え方は、全て「自然資本と人的資本が、最終製品の価値にほとんど反映されない」とし、経済と自然との相関関係を無視した前提になっているのです。
 しかし、資源の枯渇や生態系の崩壊、例えば異常気象などは私たちにとっても身近ですよね、が起こり始めて、この人間の経済活動が自然資本と切っても切り離せない関係だということが明らかになってきたのです。
 つまり、このまま自然資本を無視し続けた資本主義経済を続ければ、たけしくんが大人になるころには、あらゆるものの生産フローの最初にくる自然資源がなくなって、人間の営みが根源的に揺るぐ可能性があるのです。

中村:
 うぅ、自慢ではないが、自動車産業というのは、売ってなんぼ、壊れてなんぼの世界なんだよ。私がもしこのネイチャーキャピタリスムに則ったやり方を、うちの会社にだね、使おうと思ったら一体どうすればいいのかね?つまり、私たちもそれなりに利益を出さないといけないわけで、自然への配慮は必要だとはわかってもどうも儲かるのかどうかが分からない。

平田:
 では、ネイチャーキャピタリスムを実現するための4つの戦略と、そのメリットについてお話しましょう。

1:資源生産性の根本的改善

 まずは、資源生産性を向上させることがポイントになります。この資源生産性というのは、生産に投下したエネルギーが同じにも関わらず、製品や工程から得られる効用や仕事量が増えることなのです。
 例えば、鉄10キロで車一台の修理ができるとしましょう。これに対し、資源生産性を上げるとすれば同じ鉄10キロで、車1000台の修理が可能になるといったようなお話なのです。もちろん、これを実現するためには今と同じワークフローではだめだし、新たな技術の開発が必要かもしれませんね。
 中村さんの会社には優秀な化学者がいらっしゃるでしょう。中村さんから彼に与えるべき課題が、1年で次の修理に来てもらうためにはどうするか、から同じ熱量でより大きな効果を得るにはどうするか、に変わっていくのです。
 
2:バイオミミクリ

 これは、読んで字のごとく模倣(mimicry)に生物や、生態を意味する(bio)接頭語が着いた言葉です。 バイオミミクリは、廃棄物という概念をなくすのとイコールです。
 生態系の中で行われている優秀なメカニズムを私たちがまねしていくのです。例えば、小さな例で言えば、超高速で走る電車から出される騒音をなくすためにふくろうやカワセミの羽やくちばしの形をまねてこの問題を解決することができたのです。
 より大きな視点で見ると、生態系そのものをまねることも可能で、例えば、中村社長の取引先工場から出る排煙・排水が自然環境を脅かしている場合、その改善を自然の治癒能力の営みを最大化する方法で解決すればいいのです。

中村:
 つまり、それは私の問題というよりも取引先の問題に思えるのだが。

平田:
 そうですね、ただ中村さんの会社でも同じような問題があるかもしれませんし、何よりもネイチャーキャピタリスムについて知る人が、そのような自然資本に対しての意識を持たない会社と取引をやめることで、バイオミミクリに対する取り組みも広げることができるのではないでしょうか。


3:サービスフローに基づく経済への移行

 このサービスフローに基づく経済に関しては、コピー機のリースなどを思い浮かべてください。コピー機そのもんではなくて、コピー機が持つ機能をお客様に売ることがサービスフローを経済と捉えることです。この例は、中村さんのいらっしゃる自動車業界にもあてはまるのではないでしょうか。
 車ではなくて、車を使うことを商品にすることで、壊れやすい車を作ったりしようという意識が業界から消えますよね。


4:自然資本への再投資

 自然資本は有限であるというお話は何度もしましたが、自然資本のコストパフォーマンスの最大化だけでなくこれを何度も使えるようにしないといけないわけです。例えば、車の一部であった部品は次に携帯電話の部品になるとか。全ての物質が循環に組み込まれているのが理想的なのです。
 これは、単に環境問題にとどまらず、有限の資源の獲得に向けた紛争や戦争の緩和にもつながるのです。むしろ、安全保障の不安定化と自然資本の減少は切っても切り離せない問題なのです。

中村:
 なかなか大変な問題だね。ちょっと思ったことを言わせてくれ。

 この問題を解決するには、修理工場のわれわれだけではない、自動車産業全体の意識の変革、いやもっと大きな意味で消費者、宇宙船地球号の乗組員の意識が変わらなければいけないし。それに、私の印象では、このネイチャーキャピタリズムの実現は、大企業がどう動くかが大きなポイントになってくる気がする。バイオミミクリの問題や再投資の話にしても、中小企業行うよりも大企業からの発案、うーん、それでもだめかな、地球規模での研究ともしかしたら規制なくしては難しいのではないかな。

平田:
 さすが中村さん。ネイシャーキャピタリズムについて理解しても実現に向けてどうしていくか、という具体的なことに関しては世界レベルでの取り組みと見解の一致を見る必要があるかもしれませんね。また、短期的には必ずしもベストのソリューションに思われないこともあるでしょう。
 それを越えて、中村さん、たけしくんの未来をどんな未来にするか、という長期的な視点を持ってこの課題に取り組まなければならないのです。

中村:
 うーん、私個人の力がどのぐらい役に立つのか分からないが、わかった、ネイチャーキャピタリスムの思想に則った施策を私なりに検討してみよう。

平田:
 ありがとうございます!!

▼参考
□ポール・ホーケンら『自然資本の経済』日本経済新聞社、2001年
□『バイオミミクリプロジェクト』
http://www.japanfs.org/ja/biomimicry/index.html#loc

 
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