【 其の壱 】
ハーバードMBAのSEコース在籍の友人スティーブがいの研に遊びに来ました。
「Hey baby, 日本は欧米のマネばかり!Originalなアイディーアはないのかい?」
スティーブにも分かるように、かつ、今まで学んだ授業のエッセンスを使って
担当事例を説明して、ぎゃふんと言わせてやってください。
その際に①~③を必ず盛り込んでください。
二つの型を作った金次郎
二宮金次郎は、「五常講」によってお金を集める仕組みと、「分度」によって、資金の運用計画の方法論を明確にさせた、現代のファイナンシャルプランナーである。
五常講とは、二宮金次郎が考えた、低利の融資制度である。無利息でお金を借りる事ができ、返済が終わった際には、借りた人は「冥加金」と呼ばれる、お礼を支払う。これが、今で言う実質的な金利の役割をする。
農民の間で、このように一定のお金を集めて、運用していく事で、ファンドそのものが大きくなり、より多くの人に融資することが可能となる。
また、金次郎は、「分度」という表現の元、長期的な財務計画を藩の運営に普及していった。彼は、今後見込まれる収入と、データに基づいた現在の支出を明確にし、その結果として、余剰資金の存在が明確になり、投資と運用の可能性がある事を述べている。
五常講の面白いところは、貸したら返せ、貸したら、無理な返済をさせるな、と至極当然の事を、実現している事である。お金を借りた「お礼」として支払う「冥加金」も、今まで、やりくりして返済に充ててきた金額を、後もう一年支払う事はできるでしょう。と、借りた側にも配慮された仕組みというのが面白いと思った。個人的には、誰でも資金を借りる事が出来たのか?という事に興味を持った。
【 其の弐 】
某自動車整備会社の中村社長(58)がいの研に遊びに来ました。
「ネイチャーキャピタリズム?それは新しい育毛剤かい?」
自然資本主義の4つの戦略(『自然資本の経済』P38,39)をそれぞれ、
自分の好きな事例を用いて、そんな中村社長が納得するように
説明してください。事例はひとつでも複数でも構いません。
中村社長、
ネイチャーキャピタリズムとは、私達も、将来私達の子孫も末永く、笑顔一杯に暮らすための仕組みです!
世界の人口は60億人、しかし、この世界の人口と、将来の子孫を支えるほど地球の資源は多くありません。現在の日本人のような暮らしを世界中の人々がもし始めたら、地球は2.4個分必要だとされています(エコロジカルフットプリントジャパン)。
人類に未来は無いのか?と落胆したくなるような状況ですが、そのような状況を打破するのがネイチャーキャピタリズムです。今ある資源で長期的に社会を循環させ、かつ枯渇しつつあるものは回復のための投資を行っていく。この取り組みによって、今日も、明後日も、100年後も、人類と、地球に笑顔がうまれる。この実現を可能にする戦略がネイチャーキャピタリズムです。
ネイチャーキャピタリズムは4つの戦略の推進をすることによって実現可能です。
一つ目が、自然の生産性を向上させることです。同じものをつくるのにも、より少ないエネルギーを消費する方が、資源の枯渇を防げます。
二つ目が「廃棄」という概念をなくすことです。自然界に目をやると、一見廃棄されるような糞、死骸などは再び自然に帰る事が出来ます。そこには、「廃棄」という概念はありません。私達人間が生産するものだけがこの自然の循環サイクルに入らない、温暖化ガスなどを過剰に供給してしまっています。これによって、将来世代には、廃棄物が蓄積する一方です。このままでいいのでしょうか?自然の知見に学び、生産されたものは再び生産の資源になるようなサイクルをつくっていく事が重要です。
三つ目の戦略は、有形の商品を売る、という思考から商品が提供するサービスの本質を提供するという思考の転換です。これにより、大量消費に基づく短期思考型社会から、長期・持続思考型社会に移行できます。これまでの資本主義社会では、どれだけ商品の販売量を増やすかが重視されてきました。しかし、本質的に顧客が求めるのは、商品によって実現されるサービスの質が高まる事です。例えば、洗濯機であれば、洗濯機という機械は道具であって、顧客が必要としているのは、「洋服がきれいに選択される」という状態です。この考えに基づけば、経営課題とは、洗濯機が何台売れたか、ではなく、洗濯の質がどう向上したかとなります。
4つ目が自然資本への再投資です。これは、環境破壊によって、自然に存在しいている資源、すなわち自然資本が現在減少傾向にありますが、それを回復させていくことが目的です。昨今の異常気象による被害は莫大であり、一見身近な問題には見えないかもしれませんが、中村社長にとっても重大な問題なのです。異常気象によて中国で洪水が発生すれば、部品の下請け工場での生産はストップし、中村社長の向上での生産に影響を及ぼします。また、仕事だけでなく、生活環境においても、異常気象により農産物の不作が続き、日本の食糧事情にも影響を与えかねません。