井上英之 研究室

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0.    ペーパーを誰に向けてかくか、どう使いたいか

2008年9月にベトナム・サパで行うフィールドワークに向けて、「未来先導基金海外フィールドワーク助成制度」申し込みに用いる研究計画書の下書きとする。 

1.    タイトル、サブタイトル

フェアトレード・ファッション・ビジネスから見るベトナム北部少数民族地域サパ(仮) 

2.    テーマの要約

フェアトレードという言葉は徐々に一般にも浸透してきているように思う。コーヒーやバナナなどの一次産品だけでなく、ファッションの分野でも活用されている。代表的な事例として、サフィア・ミニーが創立したNGO「グローバル・ヴィレッジ」を基盤に1995年に誕生したフェアトレード・ファッション・ショップ「ピープル・ツリー」は、アジアやアフリカ、南米の20ヶ国60団体が生産する商品を取り扱い、日本およびイギリスでビジネス展開を果たしている。他にも規模の大小を問わず多くのショップが各地に点在している。

本研究で私が支援対象およびビジネスパートナーとして取り扱うのは、ベトナム北部を代表する観光地「サパ」に暮らす少数民族である。ベトナムは昨今急速な経済発展を遂げ、都市部のみならず少数民族地域においても資本主義化が顕著である。この変化に伴って、ベトナムおよびサパの伝統的な文化や生活が犠牲になっているという懸念がある。多くの観光客を集める一方で、貨幣経済の訪れが少数民族の貧困を激化させたと同時に、工芸品の品質は生産の「合理化」を通して大きく低下したという。

このような背景のもと、サパという土地の伝統的工芸品に商品としての可能性を見出し、フェアトレード・ファッション・ショップを開いている日本人デザイナーで、吉澤岳史さんという方がいる。吉澤さんは少数民族と直接値段の交渉を行った上で生地・染織を買い取り、大阪成蹊大学のアース・バードというNGOと提携して商品デザイン、制作活動を行っている。また、縫製や仕上げなどの作業工程には聾唖者の人を積極的に雇用している。現在サパ及び首都ハノイで、「インディゴ・ストア」という店舗を構えており、日本人だけでなく欧米のお客さんからも人気を集めているという。特に店舗名にもなっているインディゴ、すなわち藍はサパの特産物であるとともに、化学的染料と違って自然・人体にやさしいため、インディゴ・ストアでは目玉商品として取り扱いに力を入れている。 

私が理想とするフェアトレードとはいわゆる「チャリティー」ではなく、生産者、消費者、生態系の「三方よし」を実現する「自立支援型ビジネス」である。すなわち北における「エスニック・ファッション」へのニーズに対して、南の生産者が商品力としての品質・デザイン向上、適正な価格交渉や組織運営の能力強化によるキャパシティ・ビルディングを経て、対等な立場からグローバルな市場競争に参画できるようになるのがフェアトレードの意義だと考えている。さらに有機生産の徹底によって従来型の大量生産が引き金となった途上国の土壌破壊を食い止めると同時に、より自然な形で文化の多様性に触れるチャンスを得ることで、意識の上でも実践の上でも「エコロジカル」かつ「グローバル」な生活が送れるようになるという利点もある。 

まず、このような理想的な形でフェアトレード・ファッション・ビジネスを継続的に行う土地・相手として、サパおよびサパの少数民族がなぜふさわしいのかという証拠集めをしたい。フェアトレードを実施する際に重要な点として、対象となる地域・人々を消費者に明示し、彼らの物語を伝えることではじめて共感・説得力を得られると感じている。サパの少数民族が生きる世界については、文献や伝聞だけでは知りえない部分が多く、ぜひともサパ観光局が提供するホームステイ・プログラムを利用して彼らの日常生活に密着したい。また、インディゴ・ストアの吉澤さんと従業員の人々が彼らとどのように取引、価格設定、制作を行っているのか、詳細なインタビューと可能であれば見学を依頼するつもりである。そして、フェアトレード事業が実際に少数民族の生活改善と自立支援、サパの環境保護につながっているのだとすれば、その社会的成果をどう測っているのか、また得られる経済的成果はどの程度なのかという点にも踏み込んでいきたい。そしてこれらの考察を通して、フェアトレードの理念・手法そのものの定義と可能性の再認識を目的とすると同時に、観光開発の弊害や伝統文化の保護、「エスニック」という用語の見直しといったテーマにも言及することを意図している。

3. マイプロを進める上で参考になる事例や業界、文献(とその考え方)に関する紹介

 ・ピープル・ツリー:フェアトレード・ファッション・ビジネスの先駆けとして、ビジネスモデルを参考にしたい。NGO「グローバル・ヴィレッジ」を活動の基盤としつつも事業運営は完全に分離し、女性誌VOGUEの有名なデザイナーとのコラボレーションなどを通して「チャリティーに頼らないマーケット」を追求している点、商品販売とともにライフスタイルの提案をミッションとして掲げており、フェアトレードそのものの普及活動にも従事している点は興味深い。

Keio FTP:メキシコ・チアパス州におけるフェアトレード・コーヒー・プロジェクトを通して、生産者のキャパシティ・ビルディングおよび日本における市場開拓を図る。NPO法人化を目指して活動中。会長の山本純一先生をはじめ、コーヒー焙煎の専門家やフェアトレード・マーケティング経験者など多彩な人材、山本研の学生によって構成される。今学期より僕も入会。メキシコという地域の特性、メキシコ人の国民性がプロジェクト遂行に大きく影響する。チアパス住民は度重なる紛争の経験から「援助慣れ」しており、主体的に考え、動けるようになるのはまだ先。 

・てんザレス「新しい資本主義」グルワ:フェアトレードを通して僕が実現したい経済社会、地域社会のあり方とはどういうものなのかを再確認できる場となる。詳細はまだ秘密。

4. マイプロの現状報告と今後の予定

これまで

・文献調査(フェアトレード、ベトナムについて数冊)

・サイトビジット、ヒアリング(インディゴ・ストア、ピープル・ツリー、ぐらするーつ) 

これから

・さらに文献調査(国際貿易や観光開発について

・詳細なインタビュー(フェアトレード・ショップのビジネスモデルや成果の測り方について、ベトナムの地域研究者)

・アース・バードとのコンタクト・吉澤さんに研究計画報告、協力依頼

5.    現時点で考えている、マイペーパーの章立て

未来先導基金海外フィールドワーク助成制度「フェアトレード・ファッション・ビジネスから見るベトナム北部少数民族地域サパ(仮)

1. 研究の概要  1.1 研究テーマ  1.2 研究背景  1.3 研究目的  1.4 研究方法  1.5 本計画書の位置づけ

2. フィールド調査の概要  2.1 本研究におけるフィールド調査の位置づけ  2.2 調査時期  2.3 調査地とその概要  2.4 調査目的  2.5 調査方法  2.6 仮説

 
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