■既存の財団に与えた影響
・新たな支援方法の提案
・既存の財団からVenture Philanthropyを誕生させるきっかけとなる
・よりハイレベルなaccountability(説明責任)を果たす習慣をつけさせる
・他の財団とパートナーシップを築く
Venture Philanthropyが既存の財団に与えた影響は、まず新しい支援の仕方を提案したことにある。それは資金を提供すると共に、あらゆる種類のコンサルティング・アドバイスをデザインすることで、支援対象者の事業をより効果的に能率よく成功に導くことである。“営利と非営利の間に位置する”social enterpriseが台頭してきた中で、Venture Philanthropy PartnersをはじめとするVenture Philanthropyは、資金面とマネージメントコンサルティングの両方から彼らをサポートしてきた。更には、こういった動きを受けて、Rockefeller財団のような”old money”からAcumen Fundが生まれてきたように、既存の財団から新たなVenture Philanthropyを誕生させるきっかけもつくった。課題文献となっているFleishman(2007) The Foundationでは、“慈善事業の主導者として、排他的・独占的である個人的で他の影響を受けない財団の時代は終わった”と述べている。
また、直接的ではないかもしれないが、Venture Philanthropyや”Buffett’s action”を通して、財団は外から基金をひきつけるようになり、個人的な資金だけではない資金を運用するようになってきている。すると、他から託された“philanthropic dollars”をどう運用したのか、より説明する責任が発生してきている。これは、財団自身の基金を費やす際にも配慮することとして影響を及ぼしている。
更には、“個人的で排他的”であった財団同士が、パートナーシップを築くようになったことも挙げられている。これもVenture Philanthropyが直接影響を与えたという記載はFleishman(2007) The Foundationにはないが、Venture Philanthropyが社会に対し影響を及ぼしていたからこそ起こったことではないかと思う。2006年にRockefellerとGates foundationが手を組み、the Alliance for a Green Revolution in Africaの設立を、宣言した。これは単に2つの財団がくっついたことがよかったのではなく、RockefellerとGates foundationそれぞれの経験や活かせたり、ニーズを満たしたりすることでそれぞれの長所や利点を活かし、相乗効果を挙げることが可能になった点が重要である。相乗効果が上がれば、それだけ早く問題解決に近づくことが出来ると思う。
■ビジネス界の社会への関わり方に与えた影響
・より社会的な視点を持つよう意識をかえさせた
・財団をつくる経営者・企業者の出現
・ビジネスセクターからの寄付、人(能力を含めて)を集めやすくした
ビジネス界の社会への関わり方に与えた影響は、Venture Philanthropyが台頭することで、営利企業も社会的な視点を持つように意識を変えさせた点にあると思う。これがあってこそ、以下の2点も有効になると考える。
ドット・コム・ブームにより、新たな富裕層が出現したが、彼らは仕事として営利と非営利の間にある新たな団体を設立し始めたり、営利企業をこの流れの中に組み込み始めていた。eBay founderのPierre Omidyarは、最初に伝統的なフォームを完全に壊した新しいタイプの一例である。彼はthe Omidyar Networkを作り、営利/非営利の両方をコンビネーションさせ、問題に取り組んでいる。他にも、Jeff SkollやGoogleも財団を作っている。
また企業も社会的な視点を持つようになってきたおかげで、寄付やVenture Philanthropyに対する投資も増えてきている。このことは、営利企業もますます社会的な問題意識を持つようになってきた裏づけでもあると思う。
■社会起業家に与えた影響
Venture Philanthropyは社会起業家が社会起業家として出発するための様々な要因、特に資金・能力・精神的な支え・コネクション・ヴィジョンの確立に影響を与えたと思う。Venture Philanthropyがなかったら、今このようなムーブメントは起こっていないと思うし、現在活躍している多くの社会起業家と呼ばれる人々は、社会起業家になれなかったかもしれない。
まず、社会起業家が何か事業を起こそうと思った時には、少なからず資金が必要である。その資金を自分で工面できる人はなかなかいないし、例えビジネス性のある活動であったとしても、上手く軌道にのるまでの生活を支えてくれるものがなければ行動に起こすのは難しい。もしVenture Philanthropyの協力がなければ、事業を起こせていない社会起業家は多いと思う。
またこの前授業で見た多くのVenture Philanthropyは、資金以外の経営支援やコンサルティングなど様々な能力支援を行っていた。ミッションやヴィジョンは持っているが、具体的にそのアイディアをどう形にしたらよいのか分からない社会起業家にとって、経営支援や能力支援は資金以上に物を言うと思う。
そして個人で活動しようとしている社会起業家にとって特に、Venture Philanthropyを通じて出来るコネクション多いに重要であると思う。そのコネクションを通じて新たなステップに踏み出せるかもしれないし、人と人が繋がった時の可能性は計り知れない。更にこのコネクションを通じて、アショカ財団のアショカ・ファミリーのように社会起業家は世界中に守ってくれる、理解してくれる人がいるということは、大きな支えになると思う。
更には、未来の社会起業家はVenture Philanthropyがみせる社会起業家の活動を通して、問題に気付いたり、自分のミッションやヴィジョンを考えるきっかけになるのでないかと思う。そういった面でも、Venture Philanthropyがあったからこそ社会起業家になる、もしくは自分が社会起業家であると認識する人が増えると思う。Venture Philanthropyと社会起業家の関係は、二人三脚のような切っても切れない関係にあると思う。
●宿題2●
■選んだもの
・the role of opinion leaders
そもそもVenture Philanthropyが起こり、広がったのはopinion leadersと呼ばれる人々がいたからであるとVenture Philanthropyの支持者や先駆者は言っている。彼ら自身がプロフェッショナルのコミュニティやネットワークの一部であり、Venture Philanthropyのモデルを促進したり、言語や文化をそのコミュニティでシェアし、個人レベルで努力している印象を与えている。さらに彼らは、土台をつくりITで成功したドナーやプロフェッショナルを、Venture Philanthropyの分野に巻きこんだという点においても重要である。
・communication across professional and peer network
プロフェッショナルと、同じことをやっているまたはやりたい人が繋がることで、Venture Philanthropyの発展や管理(どういう状況になっているのか把握すること?)がしやすくなり、ビジネススクールの学生同士や非営利団体のメンバーたちなどVenture Philanthropyにとって重要なポイントとなるコネクションを巻き込むことが出来るからである。また、コネクションは、Venture Philanthropyを持続していく上でもっとも重要であり、ネットワークはVenture Philanthropy団体にとってスタッフ採用のツールとしても有効である。